カシマスタジアム。
浦和レッズは、過去2度しか勝てていない鬼門中の鬼門。前回の勝利は2004年。初のリーグタイトルとなる2ndステージ優勝の年。その前は98年の1stステージまでさかのぼる。しかしそんな鬼門のスタジアムでも04年の勝利以降はリードされる中追いついての2-2のスコアで引き分けに持ち込む粘り強い戦いをし負けてはいなかった。
レッドダービーと称され、どこかのチームの集客の為だけに付けられたクラシコとは違いJリーグの歴史の中でその盛り上がりと熱狂で作り上げられてきた屈指のカード。お互いの順位は関係無く年に2度あるJ最大の戦い、赤と深紅のプライドを賭けた勝負の1stRoundがキックオフを迎える。
ワシントンのメンバー除外やブラジルへの移籍など若干の問題を抱えた週末。その行方が気になりつつも試合は始まる。
前節の川崎戦で太ももの軽い肉離れでACL上海戦の帯同メンバーから外れていた永井が早くも戦線に帰ってきた。怪我の状態が軽かったのは良かった。また、去年の怪我から長期離脱中のセルもサブメンバーとしてベンチに入った。どうしてもFWの層が薄かった中でのセルの復帰もチームにとっていいニュース。またネネもベンチに戻ってきた。怪我人が多かった中で少しづつ回復し戦線に戻ってきてくれる。チームに活気と競争が戻りつつある。
そんな鹿島戦のスタメン。FWには永井とポンテ。1トップ気味に永井が居てその下を動き回る位置にポンテという形。サイドには右に暢久、左に伸二。中盤底には真ん中に啓太、右に阿部と左に長谷部。DFは、右から坪井、闘莉王、堀之内の3人。GKは都築。今回は中盤の厚みを優先し3バック。ボランチには啓太が一人となったが、そのサイド前の位置で長谷部と阿部がバランスを取るような形。右サイドは阿部と暢久のコンビ、左は長谷部と伸二のコンビ。このコンビの組合せは攻撃と守備のバランスが良い形となっていた。特に右サイドでは4バックの右に入る事が多く攻撃に積極的に出て行けない状況に居た暢久の守備を阿部がフォローする事で暢久が高い位置を取る事が出来て居た上に阿部のオーバーラップを暢久がフォローすると言う感じで非常に安定していた。それは左サイドの伸二と長谷部にも同様の事が当てはまる。その為結果的に中盤からの押し上げとDFラインの押し上げにも好影響を与え前からの守備が成功していた。ただ個人的には4バックのシステムでこの戦い方を表現出来れば最高なんだがと感じる。FWの枚数を減らす事でしか中盤に厚みを持たせられないと言う事は中盤に選手が密集してしまい最後のアタッカーの部分での負担を背負わさざる負えなくなる。去年はそれをワシントンの個人技でカバーして来ていたが何時までもそれでは行き詰る事は間違いないだろう。まだまだチーム戦術の浸透には時間がかかりそうではある。
試合は、前後半とも立ち上がりの悪さが目に付いた。前半立ち上がりの興梠と都築の一対一の場面はいきなり肝を冷やす場面だった。後半立ち上がりの新井場のクロスを野沢のシュートも同様だった。立ち上がりの場面でピンチを迎えるシーンを今年は多く目にする。前節の川崎戦の失点も後半の立ち上がりだった。一番集中しなければいけない場面で意図も簡単にチャンスを与えては自分達の戦いが苦しくなるだけ。しっかり集中して試合に入る事がやはり重要だ。この2つのチャンスで失点していたら今年もカシマでは引き分けが精一杯だったかもしれない。柳澤の負傷欠場は若くなりつつある鹿島にとっては痛かったであろう。そこを守り通して奪ったポンテのゴールは圧巻ではあった。啓太のサイドチェンジから暢久が中央のポンテに入れてのゴール。サイドチェンジで揺さぶりを掛け真ん中でフリーのポジションを取れたポンテが落ち着いてゴールを流し込む一連のプレーはチームプレーとして最高の出来となった。チーム全体の動きの中で取れた今期最高のゴール。あとはこのゴールを守りつつ追加点のチャンスを伺う戦い。
前節シーズン前に怪我で離脱していた野沢が復帰した鹿島は、その野沢のゲームメイクで清水から勝利を奪ったが同時に柳澤と言う貴重な戦力を失った。誰かが帰ってくると誰かが居なくなる。チームのバイオリズムは低迷している。それでも中盤でゲームメイク出来る選手の復帰は鹿島にとってサイクルを良くするための要因の1つとなりえるだろう。しかしながら中盤を厚くし対応してきた浦和を破る事は出来なかった。中盤での争いは一進一退ではあったがゲームをコントロールしていたのは浦和の方であった。久しぶりに闘いなれたシステムで伸び伸びとプレーでき選手間の意思疎通が上手くリンクし前線の守備とDFラインの押し上げに好影響を与えていた。決定的なシーンは前後半の立ち上がりの場面のみに押さえ得点する後半11分まで優位に戦いを行なっていた。ただ、失点を喫した鹿島もその後戦い方を変え、ロングボールを放り込む戦いを始めた事で浦和のDFラインは下がらざる負えなくなり中盤とDFラインとの間が開いてしまった為に押し込まれやすくなってしまった。
ロングボールに弱い所は昨シーズンと変わっていない。ロングボール主体のパワープレイに持ち込まれると、どうしてもDFラインが下がってしまい押し上げが遅くなる。その為になかなか追加点が奪えなくなる。それも致し方ない所はあるのだが・・・。DFはパワープレイに対抗する為にペナルティエリア内を固めようとする、しかし中盤は前に出て行こうとする。そうする事で間延びし中盤も緩くなってしまい、結果中盤の支配率も下がっていく。対応としては中盤をいったん下がり気味にするしかないのだが、それでは攻撃にいつまでもリズムが生まれてこなくなってしまい結局リアクションで対抗せざる負えなくなってしまう。4バックの採用はそう言った悪循環からの脱却を意図する部分も多大に有ると思うのだが長く守備主体でのサッカーを行なってきていたDF陣を前に上げさせる事は一朝一夕には行かない事なんだなと感じる。ここからの修正は長く最前線で世界のサッカーの分析に携わってきたオジェックの手腕に期待したい。オフトの規律、規律から開放させたブッフバルト、そして進化への過程へ進もうとするオジェック。今はまだ苦しいかもしれないが浦和のサッカーが世界のトレンドに近づいていっている予感は感じる。いろいろ不満もあるが、まだまだこれからだろう。
GAME SCORE
鹿島:0 []
浦和:1 [56分#10ポンテ]
STARTING ELEVEN |
|||
GK | 23 | 都築龍太 | |
DF | 20 | 堀之内聖 | |
DF | 4 | 田中マルクス闘莉王 | |
DF | 2 | 坪井慶介 | |
MF | 6 | 山田暢久 | |
MF | 13 | 鈴木啓太 | |
MF | 17 | 長谷部誠 | |
MF | 22 | 阿部勇樹 | OUT→87分 |
MF | 8 | 小野伸二 | |
FW | 9 | 永井雄一郎 | OUT→84分 |
FW | 10 | ポンテ | OUT→89分 |
SUB | |||
GK | 1 | 山岸範宏 | |
DF | 5 | ネネ | |
DF | 19 | 内舘秀樹 | ←IN87分 |
MF | 14 | 平川忠亮 | |
FW | 15 | エスクデロ | ←IN89分 |
FW | 18 | 小池純輝 | |
FW | 30 | 岡野雅行 | ←IN84分 |
J League Division1 2007 SeasonRanking Leg.08
位 |
Team |
勝点 |
試合数 |
勝 |
分 |
負 |
得点 |
失点 |
得失差 |
1 |
ガンバ大阪 |
19 |
8 |
6 |
1 |
1 |
19 |
7 |
+12 |
2 |
浦和レッズ |
17 |
8 |
5 |
2 |
1 |
14 |
8 |
+6 |
3 |
柏レイソル |
16 |
8 |
5 |
1 |
2 |
14 |
6 |
+8 |
4 |
川崎フロンターレ |
15 |
8 |
4 |
3 |
1 |
15 |
8 |
+7 |
5 |
名古屋グランパスエイト |
15 |
8 |
5 |
0 |
3 |
12 |
7 |
+5 |
6 |
ジュビロ磐田 |
15 |
8 |
5 |
0 |
3 |
12 |
14 |
-2 |
7 |
清水エスパルス |
13 |
8 |
4 |
1 |
3 |
11 |
8 |
+3 |
8 |
横浜F・マリノス |
12 |
8 |
4 |
0 |
4 |
16 |
9 |
+7 |
9 |
アルビレックス新潟 |
12 |
8 |
3 |
3 |
2 |
10 |
13 |
-3 |
10 |
ヴァンフォーレ甲府 |
10 |
8 |
3 |
1 |
4 |
12 |
15 |
-3 |
11 |
ヴィッセル神戸 |
9 |
8 |
2 |
3 |
3 |
11 |
11 |
0 |
12 |
鹿島アントラーズ |
9 |
8 |
2 |
3 |
3 |
7 |
8 |
-1 |
13 |
サンフレッチェ広島 |
9 |
8 |
2 |
3 |
3 |
13 |
17 |
-4 |
14 |
ジェフユナイテッド千葉 |
8 |
8 |
2 |
2 |
4 |
11 |
12 |
-1 |
15 |
FC東京 |
8 |
8 |
2 |
2 |
4 |
6 |
10 |
-4 |
16 |
大分トリニータ |
6 |
8 |
1 |
3 |
4 |
7 |
17 |
-10 |
17 |
大宮アルディージャ |
4 |
8 |
1 |
1 |
6 |
4 |
11 |
-7 |
18 |
横浜FC |
4 |
8 |
1 |
1 |
6 |
4 |
17 |
-13 |